私が過去就いていた仕事は、深夜12時を過ぎてまで続くことが多く、終電を逃してしまった時は、よくタクシーを使って帰宅することが多いものとなっていました。
当然、会社の経費で帰るわけですので、自分の懐は痛まず、日中やプライベートでタクシーに乗ることがほとんどない私は、仕事で疲れているはいるものの、乗車する際にどこかテンションが高くなってしまいます。
本当であれば、翌日の出社に備えて行き先だけを告げ、後部座席のシートに体を沈めながらウトウトとしつつ自宅まで行けばよいのですが、なかなか寝付けないこともあります。
そんなときは、タクシーの運転手さんと他愛もない世間話をして時間をやり過ごすのですが、タクシーの運転手さんもいろいろな方がいらっしゃり、その方の人生や最近のトピックス、今までに乗せた有名な方などの多方面にわたる話を伺えるのもまた楽しみの一つとなっています。
例えば、お子様がみな海外に留学していて、俺は日本でしっかりと稼いでいかなきゃいけないんだと熱く語る運転手さん。
とにもかくにもお子様がご自慢のようで、すごいだろうすごいだろうとたくさん語ってくれました。
それから、離婚と結婚を4回繰り返し、今は15歳も離れた若いお嫁さんをもらっているということがご自慢の運転手さん。
確かに、年齢が若いことはうらやましいかぎりですが、そのために4回も繰り返すのはなあ、と少し閉口してしまいました。
さらに、映画・男はつらいよで主演をされていた、今は亡き超大物有名人を乗せたことがあるとおっしゃる運転手さん。
まさかそのころと同じ車なわけはないですが、このシートにその方が乗っていたのかも、などと想像をたくましくして楽しむ心があると、仕事の疲れも忘れられます。
お話もさることながら、ご自身のドライビングテクニック自慢の運転手さんもいました。
ものすごいスピードを出したり、車線変更を繰り返したりするわけではありませんが、とにかく追い越し際に下手な運転をしているドライバーをこき下ろすのです。
私も人のことを言えずほとんどペーパードライバーなので、なかなか本心からその運転手さんのドライビングテクニック論に頷くことはできませんでした。
とにもかくにも、深夜のタクシーで高速道を駆け抜けると、いろいろ楽しいことがあるのは事実です。
もちろん、早く帰れるのにこしたことはないのですが、そこはもう開き直って、仕事で疲れた自分へのご褒美のつもりで乗車していました。